糖尿病Q&A
糖尿病の飲み薬とインスリン注射について
現在、糖尿病の飲み薬で治療中です。
血糖値が高く、インスリン注射を勧められましたが、始めると、止められなくなるのでしょうか?
糖尿病担当医より回答
インスリン注射に対する不安もよく分かります。
注射の扱いのこと、針の痛みや注射薬の管理など、懸念されるのも当然です。
しかしそれ以上に、「後戻りできないほど糖尿病の状態が悪いのか」と憂慮されているのではないでしょうか。多くの方が言葉にされます。
インスリンは膵臓で作られ、血糖値を下げる効果を持った唯一のホルモンです。
糖尿病においては、この「インスリンの産生」が十分でなかったり、「インスリンの効き目」が鈍くなったりしており、糖尿病のコントロールを改善するには、「糖とインスリンのバランス」を良くすることが必要です。
では、インスリン注射はどのような時に使用されるのか。生命維持に必要不可欠な場合もありますが、内服薬の効果不良や副作用の懸念が強い時などの他に、「インスリンの効き目」の回復や「膵臓のインスリン産生」機能の保護を目的にすることも決して少なくありません。「糖とインスリンのバランス」が改善すれば、中長期における合併症の予防や薬を減らすことも期待でき、インスリンから内服薬に戻ることも珍しくはありません。
口に薬も、胃には優しく効きます。インスリン治療の提案も、一度飲み込んでみると良いかもしれませんね。
糖尿病担当医プロフィール
有好 浩一 医療法人社団有好内科クリニック 院長
平成6年:山口大学医学部卒業 医学博士
山口大学医学部附属病院病棟医長、併任講師を経て、平成25年有好内科クリニックを開院。
日本糖尿病学会認定糖尿病専門医・指導医、山口大学医学部非常勤講師